Ema Rie Works & Philosophy
エマ理永 そのワークと核をなすもの
2006 Sep.2nd~26th at 新橋演舞場 原作/山田風太郎 脚本・演出/G2
製作 松竹
魔界転生
女人
MAKING 試作集
神経細胞 宮本武蔵 ファーストサンプル
コールというテグス入りの新素材とピンタック技法
(テキスタイル工房 『布』のオリジナル)
製作過程
プラスティックのような光を放つ布
ミシン糸を束ねた神経細胞の繊維に
シリコンを滴らせていく。
匂いが激しいためアトリエの休日に
魔界チームがマスクをしながら制作
着物の土台の制作は、
松居のデザイン画をもとに
松竹衣裳のみなさま
縫製の難しい素材にもかかわらず
見事な縫いの、伝統の技
天草四郎時貞
木綿での試作
実際に舞台で着用したのは、
オートクチュールで使用する
最高級のシルクサテン。
この試作から、地の目やパターンを
完成させていく。
羽織は、ウェディングドレスの
テクニックで、創る。
天草四郎 転生の時の神経細胞試作
透明な素材の投網に
シリコンの神経細胞を
絡ませながら描く。
天草四郎の繊細さを
損なわぬような
デリケートさを
求める。
宝蔵院胤舜
ファースト/技法の試作サンプル
一度しか転生できない魔界衆のための脳や神経細胞のイメージ
素材は、現代の新しい素材であるシャガンジー。
オ-ガンジ-よりもはるかに透明感がある。
ピンタックで、立体感と柄を絵を書くように創っていく。
この他にも水で溶ける素材で創った神経細胞や蜘蛛の巣模様など
なテストを繰り返す。
制作過程
間に玉虫のシルクを挟むことによって繊細な陰影を出して行く。
お坊さんの神聖な袈裟が、崩れ落ちて行くイメージと、
崩れ落ちる脳のイメージのダブルイメージ。
理念もなくなんでもできる『悪』といわれるものの弱さは、 理念がないから生じる裏切りから起きる。
制作過程
武士の象徴としての袴が溶ける。。
崩壊したスピリットに気付かない悲しみ。
荒木又右衛門
柳生十兵衛
制作過程
シルクシャンブレーを丹念にこすって
素材の特性を生かしてできた縞を使うアイデアを魔界チームが考案。
これは、まだドレープ途中。
女人のインナーの着物
女人たちは、早変わり前に、
島原の乱で、激しいダンスを踊るため
洋服のテクニックで創ることを途中で決断。
クールカッティングの技法。
パターンパーツ数36枚。
手も足も思いきり動かせるように。
この上に打ち掛け風の着物を着ると
麗しく妖しいの女人たちになる。
透け感の美しい最新素材に
ピンタックをした後
裏からアップリケを施す。
すぐ脱いで踊れるように
おはしょりと帯を工夫する。
振り付とのコラボレーション
魔界転生
柳生十兵衛
中村橋之助
天草四郎
成宮寛貴
お品
馬淵英俚可
お銭
遠藤久美子
柳生但馬守
六平直政
荒木又右衛門
山本亨
宮本武蔵
西岡徳馬
制作後記
着物の再生としての『魔界転生』。
曾祖母は、呉服屋でした。
着物は、小さい時から見ていましたが、
この仕事をするにあたり、
着物というものの、本質を知ることから始めました。
そこから、新しい本来の和が、生まれると信じて。
わたしにとって、進化が止まってしまったように見える着物の
再生、まさに、着物の魔界転生だったのです。
着物がいきいきと生きていた時代のその根源からの。
それは、またわたしの服創りとクリエイトの原点でもあります。
松竹衣裳のみなさまには、本当にいろいろなことを教えていただ
きました。あらためて激しくお礼を申し上げます。
曾祖母が愛して止まなかった歌舞伎。
橋之助さんからお話をいただいたことを曾祖母が知ったらどんな
に喜ぶかと思いながら創りました。
エレクトリックハイカラばあちゃんだった曾祖母に
想いを馳せながら。
いつだって、まっすぐに歌舞伎を追求する姿がまぶしい橋之助さん、
美の化身、成宮さん、
いつもやさしさを失わず、あんなすてきな舞台にしちゃうG2さん、
すてきな役者の皆々さま、
すっごいスタッフの方々、
シリコンの神経細胞の作り方を教えてくださった彫刻家の亀谷政代司さん、
松竹と松竹衣裳のみなさまに、
それから、
今回も、ミッションインパッシブルをかなえてくれた私のスタッフたちに、
いつまでもクリエイトの女神が微笑んでくれますように。
エマ理永
追記
魔界から宇宙まで、また御一緒に旅をしてくださることを
願っています。
衣裳制作スタッフ
松竹衣裳
内藤政則 小林正男
エマ理永JAPAN
エマ理永 岸田登 下里満 齋藤敏明 田内隆造 菅野一剛
黒田京子
森康代 実松加代子 長谷川節子